現場メモは改善の宝
現場でのメモは改善の宝といわれている。現場ではレシ-トの裏紙や包装紙に書かれることも多い。書けるものならなんでもよい。本学園創始者がタバコの箱の裏に建学の精神を考えるために書いたメモを見たことがある。限られたスペ-ス、何度も書き足し、見え消しして考えた様子がわかる。それが複数枚あるのもうなずける。これを紙がもったいないから書いたと考えるのは短絡的だ。考えたことを忘れないように書いたというのが肝だ。推測だが、同僚や生徒たちの姿を見ながら、今後何をめざすべきかを考え、手元にあった紙に書かれたのだろう。このメモから、本学園が始まったといっても過言ではない。
成果があがるから、「改善の宝」と使われる。現場でその時に感じた違和感や反省は次に企画する時、大きなアイディアになりうる。これは売れると考えて売り出すが、商品がヒットしない。その原因は「お客様目線に立てない」なのか、「宣伝が悪い」のか、商品が並ぶ第一線で感じることが大切だ。食品会社の幹部はス-パ-のどの売り場に自社商品が並ぶのかをチェックし、試食コ-ナ-で食べるお客さんのつぶやきを拾いにいく。販売促進課の愚弟と、ス-パ-を見て回った時、聞いた話だ。他社との競合する、レジに近いなど、それぞれに売れ行きを左右する要因があるらしい。立ち止まっては、丹念にメモをしていたのを思い出す。ビジネスで生き残るにはメモは欠かせないものらしい。
3月に生徒に語っておくことが不十分だと、そのつけは翌月に出てくる。年度をまたぐとよくある話だ。これに気づいたら、すぐ来年の3月にはこう語るべきとメモを残したい。同じ間違いを繰り返すのでは、いつまで経ってもこの違和感から逃れられない。一度変えれば皆すっきりとする。現場メモをとり、必ず改善する。不十分なら、さらに改良するメモを残す。改善も改良も一度で終わらないから楽しい。思いどおりの結果になるまでに、いくつものメモが残される。たかがメモ、されどメモ、宝はころがっている。けっしてムダにしてはならない。考えは浮かんでは消える、「考えましたが‥」ではこまる。具体的にどう成果を出すのか。言い訳を聞いているうちに、改善をしよう。メモがあれば、次はその解決をメモして書き足せば良い。具体策は青、その訂正は赤と分類したメモをはりつけて、さらにその横に書き足すのもありだ。
ポストイットは機能的だが、自由度を高め、発想を広げるなら、大きさも形も色も素材もこだわらないことだ。長四角の紙に書き出すと言葉も縦長になるし、丸い紙に書くと、まるっこく優しくなる。自分の気持ちや思いが、筆記用具で変わるのもおもしろい。不思議に思ったことを「言ってごらん」と質問するが、「書いてみたら」がメモである。読むのは自分、自分にさえ読めればよい。さて、今日、いろんな場面で感じた違和感をその辺の紙に書いてみたら‥? どんな紙に書いてもそこから改善が始まります。