チャントGPT
「新しいものは悪と決めつけるのはおかしい。」40年前のSF(空想科学小説)の中のセリフである。ワ-プをはじめ、カタカナでの、当時の最先端用語?がよく出てきた。それらがいつのまに普通に使われ、40年間ですっかりなじんだ。さらに新しい概念となり、それまでの言葉はすべてオ-バ-ライトされた。次々にカタカナ語の新しいものにとって代わられ、悪いかどうかの吟味もできないうちに、すっかり生活や体の一部になってきた。もう離れられない。
新しいものは使う人次第だ。電話なら意思伝達、写真機なら映像記録だ。これがスマホでできてしまう。また、貨幣の流通で経済が成り立ち、貯蓄や投資という個人資産を増やすことが常識だった。これらもスマホ決済やポイント投資などと、貨幣流通を介せずに画面上、しかも個人レベルでやりとりが可能になった。まったく違和感なく、数字の上のお金がスイスイと動いていく。
いいとか、悪いの話ではなくなった。使わないと、使いこなせないと、不利益を被る世の中になった。スマホを手放せないし、なしでは暮らせない。映画を見ようと思えば、上演時間を確認して、ネットでチケット購入、入口で簡単にスマホをかざすと、問題なくスクリ-ン前の席に座れる。30年前は、人気の映画なら満席で座れず、立ち見、階段に新聞紙を敷いて鑑賞もザラだった。
5月連休に旅行と思い立てば、事前に旅行会社の商品を眺めて、申し込み、必要事項を入力。確認画面、旅行規約は簡単にスクロ-ルして、「承認」をクリック。決済画面に切り替わり、銀行口座、暗証番号などを打ち込む。「完了」となり、会社からコ-ドが送信される。これをある年齢以上の方はできるのかしらと考えてしまう。もちろん、行き詰まったり、操作を誤ると、本人確認コ-ドが送られる。GなのAUなのと、メ-ルで混乱。悪戦苦闘の20分を経てどうにか完了という具合だ。甑島への旅行は楽しかったが、再度この苦痛にチャレンジする勇気はしばらくでないと思う。
いよいよチャットGPTが登場。書き物をする人には実に便利なものだと思う。自分で調べる手間は彼に任せ、指示して資料を作らせる。ここまでやらせると、文章を書くにしてもかなりまとめやすくなる。有能な秘書を雇うのと同じだ。定型的なお礼状は作らせ、最後に自分なりの表現を付け加える。あらすじなどもある程度作らせておき、最終的にまとめ上げる。特徴的な描写ならどんな顔になるかも視覚化できるのだから、イメ-ジづくりの効果も確かめられる。使わない手はない。当然だが、悪事に使われる可能性も高い。精巧なフェィク動画も生成できるはずだから、発信元の情報ソ-スを精査した上で取り上げる必要がある。新しいものに対応する人間の限界を知り、情報難民になる前に正しい道具の使い方として試行したい。チャント GPTとつきあうことにしよう。