テスト返却の活用
テストには三回の学びがあるといえる。生徒側の話である。まず、テスト勉強、これは積極的に「山をかける」練習をさせたい。「山があたる」のは、教師が大事だという部分を明確に捉えられた証拠だ。山をかける力を磨くには、授業での観察力を高める必要がある。当然、授業を真剣に受けることから始まる。その意味で、「山をかける」には大きな意義がある。また、テスト勉強の時間配分も学ばせたい。得意、不得意や教科の特性によると、1週間前からの取りかかりが必要なものもある。そう考えれば、かける時間数も違ってくるだろうし、勉強する順番も変わる。そんなことをテスト勉強で学ぶのも必要だ。
そして、いよいよテスト本番、直前に何を見るかも大きなかぎになる。短期暗記でよいもの、解法のテクニックが必要なものなどは、幸運にも直前に見たからできたという話になる。テストを解いていくテクを学ぶことにもなる。1点を争うなら点をとれる方法を身につけておくことだ。よく言われるのは、「簡単な問題を一つ解いて落ち着け」「どうしてもできない問題にとらわれない」である。この手のテストのテクは励行すれば、5点は間違いなくアップする。
最後にテスト返却、この時にこそ、自分の学びの改善のスタ-トである。点数が伸びないのはテスト勉強や授業の受け方に原因がある。つまりは毎日の授業の集中であると気づくことだ。授業中に覚えてしまう、理解してしまうがポイントである。その努力から次のテスト対策が始まるといっても過言ではない。点数がついた答案を前に、「毎日の授業を大切に」と語るのは効果的だと思う。
テストを考える教師側の話をすると、評価をどう考えるかの問題である。まずは、作成時にどういう観点でつくるかである。主観、客観の問題の割合も考えておきたい。簡単にいうと、選択肢と記述式の割合である。生徒の理解度の何をみたいかによる。記述問題だと、表現力もみることになるので、知識のつながりもよく見える。形式はスタンダ-ドでも、内容は新出問題にすればよい。
自作テストであれば、生徒が受けている場面を見るのもよい。これだけで、生徒の意欲や取組がわかる。出題の文章をはじめとして、問題の意図が通じているのかもチェックできる。生徒に意図が正しく伝わらない問題を作るのはまずいし、評価もあったものではない。つまずきや学習スタイルもよく見える。
最後に、「返却」を大切にしたい。正しい答えを提示して、訂正させることも大切だが、テストの中に新しい発見や学びを準備したい。「この問いをこんなふうに変えると答えはどう変わる?」平均点以上の生徒を満足させないことだ。発展的にテストを解説する視点も考えてほしい。そうすることで、学びのスタイルを変えられる教師をめざしてほしい。そのためには、話をよく聞ける時に語りたい。その意味で、問題点を意識するテスト返却は絶好のチャンスである。