「やり抜く力」が今年のスロ-ガンである。年頭のあいさつの中で理事長が「自分の目標にむかって、ひたむきに最後まで努力する。挫折困難を乗り越えて、あきらめずに、粘り強く、やり抜く」とこの力のイメ-ジがわくように語られた。この力は「継続して」がポイントである。成功する人に共通する資質、あるいは、取組という観点で、研究者の言葉も引用された。「成功する人には長期間、継続して最後までやり抜く力がある」 成功の法則として、「やり抜く力」は絶対に外せないようだ。さらに、「けっしてあきらめずに努力する」ことや「情熱と粘り強さ」も要素として語られた。最後に「やり抜く力」を発揮しやすくするために、目標達成シ-トの活用を取り上げられ、毎日、確認して実行するようにと付け加えられた。教師自らがこの力をつけて、生徒たちにもこの力がつくようにと結ばれた。やり抜く力がついたかとどうかは結果として成功したかということになりそうだ。評価として、結果を重視するということだ。
やり抜く力を生徒につけるにはどうするかで話を進めたい。まず、意欲が必要だ。動機づけが大切だろう。対象としてやることが自分の将来について大切だ、価値あるものだと認識できれば、自ずと取り組みが違う。継続して努力できるエネルギ-がそこに存在する。やり抜く力は成功体験の上に強化されるだろう。文化祭や体育祭の学校行事の中で、自分が任された仕事をやりとげる時、「困難や挫折を乗り越えて」となるに違いない。やりとげるを実感できる特別活動の取組こそ大切にしたい。教科についていえば、客観的な評価となる資格の取得である。英検や漢検、数検などはやり遂げた指標になるだろう。 具体的には「やる気 やること やり抜く やり遂げる」の流れを考えて指導したい。やることを発見させるのはキャリアを育てるのにも重要だ。学習に主体的に取り組ませたいのであれば、本人が何をやりたいのかを相談しながら決めていくのが良い。その意味では、目標達成シ-トは担任や部活動顧問と語りながら作らせたい。やることは達成シ-トを見ればすぐわかるとしておきたい。さて、やる気には個人差がありそうだが、形を作ると高まることはよく知られている。授業に入る前の黙想などはまさに心の形をつくる行為である。しかし、なぜ継続できないだろう。継続すれば、正座した時の足のしびれのようなものがあり、組み替えたり、立ち上がったりが必要となる。「継続する」は、けっして同じことの繰り返しではない。改良しながら継続するのだ。そうでなければ、続かない。教師は、改良の観点を教えたり、組み替えのタイミングを指導したい。そうやってやり抜く力を育てていくと、人は次のやることを自分で見つけてチャレンジするようになる。やり抜く力は他に転嫁して発揮されてこそ本当の意味で身についたことになるだろう。