きばっど 市立病院ライフをふりかえる4 2019.11.27
いよいよ10日間の病院ライフを終わり、退院となる。入院時に感じたことだが、少ない人数で、業務を実にてきぱきとこなしている。入院時には、患者名、生年月日とバ-コ-ドを印刷したタグを左手につけられる。退院時にハサミで切られるまで、このタグが個人の判別のもとになる。
退院の話を聞いてから、看護師さんがハサミで切ってくれる瞬間が待ち遠しかった。摘出したものが良性で、新田先生から「一番いいシナリオになり、よかったですね」と言われたとき、本当にほっとした。家族や友人にメ-ルした。メ-ルの内容は、「この世との契約が更新されました。もうしばらくおつきあいください」である。この時点で退院までのスケジュ-ルが語られた。
入院時には2週間の工程表ならぬ、計画表が渡される。その中に見通しが書かれている。病人にとってはこの表は希望である。この表に基づいて、いろいろな取組がなされる。この表も不安が解消されるようによく考えられている。また、看護師さんの中に、「おこまりはありませんか」と声をかけてまわるスタッフがいた。こんな声かけがあると、相談もしやすい。退院の話を聞くと、退院の費用はとか、その後の通院はとか、転院先はどうなるのかと新しい心配も出てくる。すばらしい取組だ。退院の費用は前日くらいに看護師さんからペ-パ-で渡された。これだけ面倒をみてもらった割には安いと思えた。
看護実習生も来ていたが、私はチャンスに恵まれなかった。同室の766-3の方はその対象だった。実習生の皆さんのブ-スが近くだったので、間違えて声をかけてしまった。ネ-ムプレ-トをよく見るように言われたが、初心者マ-クでも貼っていればよかったのにと思うことだった。どの顔も緊張して一生懸命なのはよくわかった。
退院の時間は10時くらいという見通しで、診断書の手続きを並行して進めた。荷造りをすまして、着替えも終わり、ベッドに座って待っていた。忘れ物を確認し、出ている薬の説明があり、次回の診察の予約表を手渡してもらい、いよいよ左手首のタグをはさみで切った。
12日 入院 13日 手術 14、15、16日と痛みに耐え、夜な夜な痛み止めの世話になった。17日にはそれも遠く去り、週明けの18日にドレ-ンがとれた。そして、腫瘍が良性だったことを知り、ほっとした。よく眠れるようになり、19、20日と術後1週間で抜糸、傷口も養生テ-プを貼ってもらった。11月22日にはれて10日間の市立病院ライフが終わった。
秋が一段と深まり、武中や長島美術館のある山にも紅葉が目立ち、風も冷たくなっていた。小雨が降っていたが、ひさしぶりの外の空気がおいしかった。市立病院にある最先端技術、出会った最高のスタッフ、おもてなしの心は、過ごした人でないとわからない。体験しない方がよいのだけど‥