校内での外部講師による講話のタイトルである。年明けにふさわしい話なので紹介したい。野球馬鹿で甲子園をめざして高校に入学したが、夢はかなわず、勉強もしてないので就職を考えた十原くん。ところが、就職もうまくいかない。野球以外の目標はなく、あがいていた高校時代。そのとき、目にとまった「留学」の文字、英語はできない上に、勉強らしい勉強をしたことがないのに「留学」はしてみたい。とびこんだNIC、そこで英語漬けの毎日、英検4級もない彼が留学できるまでがんばった。
そして、いよいよ留学、ところが、あれだけ勉強したのにマックでの注文も通じない。この衝撃は大きい。そこでひるまず、「習うより慣れろ」と開き直った。NICで鍛えられたことで、ヒヤリングはまあまあ。野球はバカのようにやったから、一通りプレイはできる。足が速かったことが幸いして、大学時代は野球が人脈を広げてくれた。いよいよ卒業、野球の縁で知り合った人の紹介でカンザスへスポ-ツビジネスの修行に出た。自分が何をしたいのかを考えた時、野球の存在は大きかった。彼は気づかないが、野球をやりぬいたことが力になっていた。彼が語る野球馬鹿とは一つのことにとことん一生懸命になれる姿だ。この「とことんやり抜く力」は成功するための大きな原動力だということのよくわかる話だった。
留学の魅力を「違う世界から見ることができる。ちょっと離れただけでもこんな人がいるんだ。」と十原くんは語る。友人仲間を大切にすること、好きなことを3年間やってみること、今やっていること以外にもう一つ好きなことを探すこと、それを見つけるためには初めてやることに挑戦する。前半のまとめはこんな言葉で語った。
さて、彼の話ですごいのは人間関係つくりだ。世界の野球関係者が集うアメリカでの特別な野球フェスの日にはとにかく名刺配りをする。そこで、日本のヤクルト関係者と知り合う。ふつうならここで終わりだが、後がすごい。相手の「昼飯を食べよう」という約束を面接試験に変えてしまう。この体験を取り上げて「自分を相手に売りこむ準備の大切さ」を語った。まず、時間と場所をはっきりさせたら、相手に評価してもらうように、提供する資料づくりをする。この資料を準備するために時間をかけたので、昼食だけで終わらせない作戦は見事に成功する。就職してもステップアップを考えて仕事をしていく。ゴ-ルが明確だから、少々のいじめやいやがらせにも屈しない。どこでも自分を磨き、人と違うものを作り出すことに力を入れてがんばれる。
20世紀FOXへ移る話もおもしろい。「いい人はいないか」という電話が知人にかかり、その人の紹介で会社へ採用される。人脈でつながっている。エンターテインメントの世界もまたすごい。そして、女性管理職の多さとその能力の高さに驚いようだ。そして、いよいよメジャ-リ-グへ移籍である。またまた、電話で人を探しているみたいという話から、「いい人いない」の業界電話が回り、その結果、自分が行くことができたと話した。
これらの波乱万丈の物語にしては、十原くんのまとめは実にシンプル。「思い続ける。やり続ける。かなうまで」「常にプラス思考で」「準備、準備、準備」でした。実に楽しい時間でした。