きばっど育英館 好きな言葉を英語にすると… H29.11.17
英語に訳してみると、日本語が深まるという体験をすることがある。日本語には言霊があり、口に出すとそれが実現する国と信じられたのはずいぶん古い話である。古今集の前書きと言われる部分には、その効用がいろいろと述べられている。私たちは言葉の大切さを知る国民と言ってもよいだろう。書き出しの文との関係がよく見えないので、補足すると、日本語と英語を比較すると、日本語で表現したいことが明確になるという体験だ。
英語よりわかりやすい例として、各地域にある方言との比較を考えてみたい。奄美に初めて赴任した時、「まあじん」という言葉を聞いた。「いっしょに」という意味だった。初めて聞いたら「ばあじん」と聞こえた。その後も、しばしば、この「ばあじん」とどきっとしながらも、奉仕作業だったり、飲み方だったりとみんなと楽しく「いっしょに」ができた。
また、「きょら」という言葉は、今でも素敵な響きだと思っている。最初聞いたときの感動を昨日のことのように覚えている。言葉の意味は、「美しい」であり、「きょらしま」とか、「きょら○○」と使われていた。これが「きょらも」と発音されると、「美人」になる。「も」より「むん」に近い発音だ。奄美新民謡レーザ-ディスクには必ずこの「きょらも」が出演していた。奄美の方言には母音が7つくらいありそうだ。韓国や中国でもない言葉だが、新しい言葉の発見で、わくわくした。英語だってきっと同じだ。そう思って字幕のスクリ-ンを楽しんでいる。
生活目標や日々の連絡を英語で表現すると仮定して、生徒の理解力はどの程度なのだろうか。中1特進コ-スがインタビュ―に来たので、英語で答えてみた。聞き取りは十分できる。私のけっして発音がよいとは言えない英語を聞き取る。考えてみると、
朝のリスニングの成果である。語学習得では耳を育てることは欠かせない。素地はできているので、あとはチャンスを与えたい。時間設定をして、生徒会連絡、ミニの意見発表などを実現させたい。英語弁論大会の進行、感想まですべて生徒の英語でやるのはどうだろうか。講評は卒業生(大学生)に英語でやってもらう。
「英語の育英館」であれば、もっと英語を日常化したい。交流した学校のニュ-スも掲示したいし、お世話になったホ-ムスティ先とのやりとりも紹介したい。中村文昭さんではないが、出会いを活かさない手はない。「好きな言葉は何ですか」と中1の特進コ-スの質問は続く。私の好きな言葉は「我逢人」である。そして、その「人」は先生でなければならないと思う。先生にかけてもらった言葉が忘れられないという話は本当に多い。その先生からかけてもらった言葉を英訳して集めてみたい。自分を励ました言葉を場面まできちんと設定して思い出そう…である。こんな取組を生徒にさせてみたい。まずはその言葉、そして物語をつくる。けっこうな物語になるだろう。形式は古典で学習する歌物語に似せるとおもしろい。活かせた出会いも活かせなかった出会いもスポットをあてて書き起こせば、「英語の育英館」が自慢できる小冊子になるにちがいない。題名は決まっている。「Thank you for everything」