きばっど育英館 ミクマイケル校との国際交流 H29.6.2
国際交流の在り方については、いろいろな考え方があるだろう。交流を図るためには、「ユ-モア」は潤滑油としてぜひ必要なものだと考えている。
習字の時間に右に払う書き方を指導する際に、池田湖に住むイッシ-を取り上げた。右払いは恐竜をシンプルにした表現と考えて、字を書かかせる指導である。その方法は、声に出して、「池田湖の」で起筆、斜めに送筆して軽く止まる。そして、筆先を右横へ移動させながら、「イッシ-」と書き出す。つまり、起筆した筆がいったん止まり、方向を変えて書き出し、書き終わる様子や、筆圧をかける部分と送る部分を明確にするためである。板書には「永」という書写の筆使いの基本が入った文字を書いた。書写の世界では「永字八法」と呼ばれ、書写指導の導入段階で使われる。この文字の右への払いの指導のおきまりだった。しかし、池田湖のイッシ-は昔の生徒には共通基盤だったが、今の生徒は知らない。当然、ネス湖のネッシ-も知らない。残念。
次の日の歓迎一日遠足は長崎鼻パ-キングガ-デンだった。近くに開聞岳、遠く屋久島をながめられる快晴の一日だった。生徒たちは童心に帰り、パ-ク内を駆け回っていた。帰路には池田湖でのトイレ休憩を設定した。新緑の中に見えてくる池田湖、風が水面を揺らすだけで、目を凝らしてもイッシ-は見当たらない。そのイッシ-はドライブインにいた。コンクリ-トづくりのしっぽが短いイッシ-である。右払いとはイメ-ジが違う。おみやげコ-ナ-の奥に大ウナギも展示されている。あれだけ大きなうなぎもいるのだから、きっとイッシ-だって…と思いたくなる。英語が堪能なら語りたいものだ。ところで、ミクマイケル中の生徒たちは書写の時間のユ-モアをどれほど理解しただろうか。池田湖までやってきたのだが、どんな感想をもったのだろうか。けっこうな暑さでソフトクリーム屋の前に列がなかなか縮まらなかった。
市内観光や桜島探訪、宮崎観光と彼らの体験は続いていく。彼らが自分の体験したことを教科レポ-トとしてまとめていると聞いたとき、SFの名作「スタ-トレック」を思い出した。クル-は未知の惑星に降り立ち、それぞれの分野で、その星を分析する。そして、艦長へ報告する。さまざまな観点からの報告書をもとに、艦長は総合的な判断を下す。漠然とものを見るのでなく、数学的には、生物学的に、言語学的にはと考えるだけで、観察は深まる。また、自国のものとの比較もやりやすい。このような情報収集や分析の力を育てる教育は、まだまだ日本は足りないようだ。
さて、スタ-トレックのカ-ク船長だが、平和解決、友好、相互利益を常に頭において行動する。確かに地球の利益も大切だろうが、上がってくる報告書をこれらの観点で総合的に判断していく。地球の利益にこだわらない彼の判断で、物語は常によい解決の方向と向かう。分析されたものをキ-ワ-ドで整理し、自分の良心や信念に照らして判断するカーク船長並みの能力までつけられるとすばらしい。
かれらが去ると本格的な夏がやってくる。LCRや反転授業、2050年には当たり前になるこれらのキ-ワ-ドを自分のものにしたい。やっておかないと、次の教育改革に間に合わない。未知の世界に足を踏み込むには、スタ-トレックではないが、勇気と努力しかない。