育英館は創立以来、幾たびかの岐路に立たされ、それを積極的にのりこえてきた。
創立以来の育英館を支えたものは何か。それは、生徒の自覚、志の高さと礼儀作法、全寮制による一体感などである。そして、何よりも師弟同行による学問への探究である。創立時の育英館はそれを可能とする学び舎であった。このよき時代の育英館の時代に合わせた創造こそ、私たちに課せられた使命である。そのためには、現状の中で、今までの育英館を支えたものと同じ意義のある教育活動を創造したい。
考えてみると、不易流行の言葉通り、変えてはいけないものと変わらないといけないものがある。変えてはいけないものは、建学の精神であり、「天下の英才を得て、これを教育する」の設立の趣旨である。しかしながら、高齢化、少子化という社会情勢の変化、高度情報化という社会自体の変化に適応するためには、未来を予測した変革が必要である。そこで、平成28年から30年までの3年間を通して、本校のハイブリッド化を図りたい。教師も生徒も保護者もここに変わろうとする必要がある。
言葉の意味を考えるために、映画のジュラシックパ-クの続編ジュラシックワールドの話を例として取り上げてみたい。映画の中での話だが、テラノザウルスという獰猛な肉食恐竜をベ-スに遺伝子操作をほどこしたハイブリッド恐竜を誕生させた。経営者がこの新種を看板に売り出そうとした時、このハイブリッドが人間のコントロ-ルをこえ、自分の意志で活動し始め、管理人や他の恐竜を殺し、パ-ク自体をも危険にさらす。遺伝子操作の危険性を象徴したような話だった。
ハイブリッドのイメ-ジを描くにはやや物騒な例ではあるが、電気とガソリンで走る自動車よりはこちらに近い。多くの恐竜とコウイカ、アマガエルのDNAまで取り入れて作られた恐竜、インドミナス・レックス(横暴な王様の恐竜)だから、擬態もできるわ、破壊力はあるとは恐れ知らず、できないものは何もない。自分で考えて行動する力も人間並みというからすごい恐竜だ。
今後の育英館という点で、だれもがイメージできる「アイパッド活用、アクティブ・ラ-ニング、横断的・総合的な学習」が必要である。「それらを積極的に身につけて教師自身が変わる」ことから育英館のハイブリッド化を進めたい。この恐竜のように教師が変わり、力をつけたい。理事長の願いにある「自分自身を変える教師」がめざす姿である。次に、生徒を変えていきたい。
城西高校の見学の感想を見ると、育英館の強みをつくり、生かすと多くの方が書かれている。これがハイブリッド化への足がかりになる。2学期から本格的に動き出し、平成29年度にはペパ-レスとか、メ-ルでの提出とか、そんな言葉が職員間で出るようにできないだろうか。生徒用のアイパッドに学習の仕方が送信されるとか、テスト対策ならこれと、ソフトが紹介されるをぜひ実現したい。
そうなれば、生徒も変わらざるえない。使い方は無限にある。ぜひ自分だけのものにしないで、全員に紹介してほしい。だれもがもっと身近に使うものにしたい。