研究公開の授業は?
研究公開の授業を見た職員から「どうしたらあんな授業ができるんですかね?」質問された。何十年前の話と前置きして、自分の経験を語った。そのころ、研究校での公開は一大イベントであった。多くの先生の参観の手前、失敗は許されないというプレッシャ-もあった。ところが、本人の性格もあり、ありのままを見てもらえば良いとか、提案授業だからとか、自分は楽しくやれていたと思い出す。一挙一動を見られているあの緊張感は忘れられない。
しかし、その授業の成功にむけて努力するというのは多少に関わらずあった。どんな努力をするのかというと、まずは、学習訓練を徹底する。参観される先生たちにとっては、授業研究、評価のためにも生徒の反応は必要なものである。これをしっかり見ないと、授業がよいか悪いかを判断できない。次に、教科の特質として、言語活動をするのだから、発表する力を高めなければならない。読み、話すは生徒の力として表出させる必要がある。教師のどんな働きかけ、発問が生徒の変容につながるのかは、この生徒の反応をよみ解く以外にない。生徒の反応が明確でなければ、研究対象にならない。
次に学級経営である。学級に指示的な風土をつくらなければならない。生徒一人一人が安心して授業に参加できること、発言を遮られたり、ばかにされたりすることがないという安心感がクラスに必要である。そのために、4月当初から人間関係づくりを大切に、いろいろな教育活動を工夫して学級作りをする。まさに、成功への周到な準備をする訳だ。教科でのグル-プ活動を充実させるには、日頃の学級活動でグル-プ単位で課題に取り組ませ、解決させることが大事である。そのときだけの付け焼き刃ではうまくいくはずがない。
よく使ったが、「学習に使う道具で、できるだけ高い塔を作ろう。」のお題で競争させていた。筆箱や鉛筆、三角定規に分度器、消しゴムにコンパスが積み上がっていく。わいわいがやがやの中で、自然とリ-ダ-役も決まっていく。あれでもないこれでもないと、リ-ダ-、フロワ-体験が自然とできる。2回め3回目とスピ-ドは上がるし、はたから見ていると、人間関係も把握できる。もちろん高さを競うので、それで1位は決まるのだが、タイミングを見て、よく協力したグル-プを表彰するのもよい。こういう活動を研究公開当日まで続ける。公開学級だけでなく、他を使うこともあるので、学年、学校全体で取り組む。授業は生徒とともに作り上げるものだから、生徒を信じることが大切だ。 「いつもあんな授業ができるのですね。」という感想はありがたいが、その授業を成立させる努力は半端ないと付け加えたい。よい授業には教科と学級経営の両方が大事だと思う。その結果、生徒と教師が一体となってすばらしいものができる。お茶の言葉で「一座建立」というらしい。まさにライブで