構え 備え 心得
年末に中高別の学力検討会の報告があった。学習に対するモチベ-ションの話から、授業への興味・関心まで検討されていた。会の報告を聞きながら、先生方の意識の高さ故か、なかなかよい話し合いになったと感心した。肝腎なのは解決の手立てである。いくつか試行的な実施を含めて提案されていた。分析に終わることなく、結果が出るように、ぜひ、全員で取り組んでほしい。昔から言われる話だが、授業をしっかり受けるには、自己統制力は欠かせない。
参考になりそうな「構え 備え 心得」の話を思いついたので、書いてみよう。一連の動きは「自己統制力」という言葉でまとめられそうだ。「学力向上を図るため…」を話し合うと、度々出てくる力である。学習はメタ認知で調整される。メタ認知は本人の取り組む姿勢もだが、言葉として教えられないものがある。学習過程で立ち止まって自分を見る自体はなかなかない経験だ。教師側から自己評価や自分を見つめる場を与えることが大切だ。なんとなくや一過性では身についた力として不十分である。「セルフコントロ-ル」として身につくことが必要である。何事にもこの3つ「え」の形で出現するようにしたい。
東京都の小池知事が、自分はガ-ルスカウト出身なので「何事にも備える」を信条としていると語っていた。なるほど、有名な「都民ファ-スト」なんて言葉も単なる思いつきでなく、マスコミにいつ、どう語るかのタイミングを意識した、まさに備えた結果であると納得する。「今日の授業で何を勉強するのか」こう考えてみるだけで、備えである。予習の観点も明確になりそうだ。備え型の自学自習ができれば、本番の授業もわかりやすいという話になるだろう。
もう一つは武道の話になるが、「構え」からすべてが始まる。構えなくして、○○型はない。だから、すべてに構えがあるといえる。授業の始まりの準備やあいさつはこの構えである。これがぐらついたり、集中できてないとその後の型はくずれて、授業が成り立たない。生徒に構えをもたせるには、いろいろな動きを一瞬静止させることである。授業前の黙想はこの構えをしっかりと作る行為だといえる。静止を徹底してこそ、学習への集中力もアップする。
そして、立場や場所にふさわしい言動を知り、それを間違いなく発揮することが大切だ。つまり、形に心をいれる行為を最後にもってくる。「心得」が必要となる。先生の指示に従うとか、私語をしないとかは、まさに授業を受ける心得である。心得違いや不心得では、授業が成立するはずはない。そして、自分でこの心得を習得していくことが大切だ。TPOに合わせて、いっしょに学ぶ相手への思いやりをどう表すべきかと考えると答えは出てきそうだ。自己統制力は、相手への思いやりから、どう行動するのかと自分をコントロ-ルする力のようだ。今年は、まず、「備え、構え、心得」で自己統制力を高め、自分の心も磨いてほしい。