3合目の意味
7月は1年の山登りの3合目いや5合目にあたるのかと話を始めたい。何しろ、富士山でさえバスで五合目あたりにはいける。ここから登るのだから、ありがたさも半分である。学級担任をしたら、麓から登り始めて、3月の終わりにすばらしい景色を見たい。さて、1学期が終わる。初めての担任でもこのあたりまではなんとなく、去年の躾けの遺産でいけるところだ。ここからが担任の腕の見せ所だ。まずは夏休みの過ごし方、チコちゃんに叱られるではないが、「ぼ-っと生きている」と40日は瞬く間に過ぎる。スタ-トで何ができるのかを考えているのとそうでないのとは違う。これからの登り方にかかっている。
ベテラン担任は、1学期の財産を活かして、2学期の学級の成長につなげようとする。だから、夏休みを大事にする。どこまでできるようになったかとその力を休みで活用させたり、伸ばしたりという構想するのである。基本的なしつけである、時を守る(チャイム席や黙想)、場を清める(整理整頓、無言作業)、礼を正す(ル-ル、マナ-、エチケット)が休みでどう育つかである。心まで届いて、しっかりと身についていれば、家庭生活でもその成果が発揮されるだろう。親からも認められ、褒められると、強化されることになり、ますます、定着していく。礼儀正しく、自分でできる育英館生徒に自然となっていく。
そこまで到達させるためにも、自主自立がキ-ワ-ドである。夏休みの克服に挑む生徒たちを支援するために、見通しをもたせることや途中でのチェックは大切である。そのためには時間と内容の両面の計画を立てさせる。ここまではどの担任もできる。ベテランの担任がひと味違うのは、チェック体制である。夏休みの課題を全員パ-フェクトに終わらせるのであれば、休みの終わる10日前に必ずチェックを設定することだ。親の協力も一つの方法である。
始業式に提出できなかった生徒を残して、1週間かけて終わらせるのでは担任として情けない。「時を守る」がなされていない。「期限を守らせる」を意識してほしい。まずは9月1日を守らせることだ。分量や能力の問題があっても1週間の余裕があれば、宿題はほぼ終わる。その覚悟で夏休みを送らせたい。休み前に準備できることはすべてやっておこう。共通して、宿題の全体像を把握させ、チェック欄を作り、夏休みに入るまでの第1段階、次に出校日を設定して、学級独自でチェック体制をとる。生徒同士の相互点検ならなおいい。遠慮なく指摘し合うこともできるし、終わらせ方のコツも教えてもらえる。この第2段階を設定した上で、点検結果をもとに残り10日をがんばらせることだ。ここまでやりとげると、休み明けに5合目まで登ったなあと実感する。生徒の主体性は休みの間に育つ。9月になれば、自分から勉強する生徒も出てくるだろう。3合目の意味はそこにある。高い山に登るためには、3合目をどう登るかにかかっている。