6月の学級づくり
学級づくりの6月は話合いの練習をさせるものだ。この時期は、文化祭や体育祭、合唱や設営コンク-ルにむけて、話し合うことが実に多い。担任として、はじめから学級全員へ「よい案はありませんか?」と語るのは無責任である。時間がかかりすぎる。決めることに時間をかけずに、作成したり、練習したりに時間をかけたい。そのためにも、学級運営委員会を機能させることだ。慣れないころは、話合いの仕方を簡単に作成して、司会者、記録者、提案者を決めておく。さらに、原案を作成させておくと、話はスム-ズにいく。あるいは、事前アンケ-トなども効果的だ。話合いの始めにみんなの動向を紹介しておきたい。一連流れで、「話合い」を学ばせ、課題の焦点化や見える化を意識させたい。原案に修正をかけて全員の総意をもって決定できればすばらしい。そのためには、建設的に質問ができたり、意見交換ができることが大切だ。建設的な話合いになるように教師が、最初に目的やゴ-ルを語り、途中で評価、激励することも大切だ。このような学級の話合いの基盤整備をぜひしておきたい。そして、激論を戦わせて熱くなってもこの時間で終わりを共通理解しておきたい。
次に司会者を育てておくことだ。司会者というよりファシリティタ-であってたほしい。よい案を引き出し、よりよいものを作る。そのためには、アイディアのどこを活かせば良いかという観点で会議を進めてほしい。課題が見えるように構造化して、タイトルをつけて行事のねらいと整合するかを吟味するなど、考えてみる。自由な発想をお互いが述べ合う。人間関係の耕し効果もある。
文化祭、体育祭の成功はクラスの意見が練り上がるところから始まる。全員でワイワイガヤガヤやることだ。担任はどうすれば内容が高まるか、生徒たちの一体感も高まるか、そんな観点で見守りたい。育てたい生徒が中心人物となるもよし、そうでない生徒がなれば、支援するぞと腹をくくるとよい。学級経営は生徒たちの成長を促すことでもある。お互いが本音で語り合う場は少ないものだ。その意味では貴重な体験でもある。
若い頃は生徒とよく対立した。本気でケンカもした。あの頃は教師でなく、お兄さんだった。中学生は生の人間でぶつかってくるので、こちらもエネルギ-が半端なかった。文化祭、体育祭の成功では本当に心から喜んだ。ふてくされたり、途中で協力しなかったりしても、なんとなく最後までやってくれた。この経験から愛する心は必ず伝わると思う。後からわかったことだが、私の出張の時に、先輩教諭が「お前らの担任が一番、君たちを愛している」と学活で語ってくれたようだ。転勤時に聞いた話でお礼を言えなかった。若気の足りなさをカバ-してもらった。学級づくりのいろはを教えていただいたこの先輩は、もうあちらで今の私を笑いながら見ているに違いない。学級づくりは教師と生徒共にがんばっていくものだ。