小学校ではプログラミング学習が行われていると話に聞いているが、なんぞやと本を読み始めた。石戸奈々子先生が説明するというマンガである。ざっと言うと、「仕事をどう進めていくかを考える」訓練を小学校から始めるという話だ。昔、年寄りから「だんどり」を言われた。それと同じだと勝手に理解した。
具体的には、プログラムで三角形や正方形をどう描くかという話だ。10㎝の正方形なら、まず、直線を10㎝引いて、引き終えたところで左へ90度曲がり、さらに10㎝進んで、今度も左へ90度曲がり…と命令すればできる。曲がりは左を右に変えてもできそうだ。この応用で多角形も書けるはずだ。
昔、コンピュ-タがゲ-ム機に毛がはえたようなころ、「タ-トル」という言語?があった。これからのコンピ-タ教育の共通語と言われ、教育現場で大きな話題になった。まず、画面の上に点滅する亀(のような)さんが出てくる。これに命令を与えると動く。そのころのBASICとかいう言語では、画面上でものを動かすのは大変な作業だった。ゲ-ムはみんなマシン語で書かれていた。
さて、亀さんには、確かgo(2、3)とか、turn rightと書いて命令していた。何しろこのタ-トルを動かす前に、プログラムをカセットで転送して起動していた。意欲維持が至難の業だった。それでも☆を書けたと小躍りした。目も腰も大丈夫で、☆を1つ書くのに一晩寝なくても平気な35年昔の話だ。これが、色鮮やかなテントウムシやねこになり、日本語の命令カ-ドを画面上で並べるプログラミング。その動きはなめらかだ。スマホでも学べるし、お手軽、お気楽に学ぶことができる意欲もなくならない。30年の月日を感じる。
今、コンピーュタがあらゆる機器に組み込まれ、このようなプログラムで動いている。しかし、基本はこのお絵かきにある。このような考え方が身につけば、仕事のだんどりをきちんと考えられる力にもつながる。この「だんどり」を、科学、技術、工学、人文科学、芸術、デザイン、数学というSTEAMの視点で考えられるようにしたいのか。中学・高校では問題解決型学習をプログラミングの発展ととらえてよいのか。そして、文理の壁をこえた思考力を練る探究学習へとつながるでよいのだろう。しばらくは研究してみたい。
論理的思考力を身につけた若者を育てたいがみんなの願いだ。若者には今までのまちがいを訂正し、これからの判断を間違わないでほしい。小論文は感情論や思い込みで書いてはいけない。事故や事件を防ぐには、すぐ厳罰を…と書くのはダメ解答で、それを引き起こす仕組の改善をとりあげて書くのが正解だ。つまり、改善できるものを問題と設定するべきだ。世の中の失策はこの論理的思考のなさに起因する。つまり、だんどり力のなさだ。35年前、みんなおもしろいゲ-ムを作り、一攫千金をねらった。今思うと、思考力のある人間を作る方が先だった。新しいプログラミング教育に今度こそその夢を託したい。