きばっど 今年の夏もジブリ 2019.9.3
夏休みの後半には、テレビで子供向けのアニメが放映される。今年もジブリの作品が満載だ。朝の「なつぞら」でアニメ-タ-地位向上に奔走する若者が宮崎さんのモデルらしいと聞けばなおさら見たくなる。
今回は、いてもたってもいられないくらい、「ジブリ」を見たくなって、5月の連休に福岡まで出かけた。「みずほ」という新幹線に乗ると、熊本の次は福岡だった。駅弁人気1番という黒豚弁当を味わうひまもないくらい速い。
さて、今回のジブリ展は福岡市立美術館である。皆さんもご存じのように三鷹の森ジブリ美術館は要予約であり、なかなかそこまでは行けない。そこで、福岡ならGOという気持ちだった。7時2分に鹿児島中央を出発すれば、百道にある美術館開館は9時30分で、これなら楽勝だと考えた。ところが、8時18分博多着なのに、駅の迷路で迷い、地下鉄を使って西新まで移動して、どうにか8時50分には到着した。地元人はなれているのだろうが、駅前から美術館までの距離がわからない。とりあえず、バスに乗って福岡タワ-をめざす。タワ-に到着したのが9時15分、開館時間まで10分くらいはある。歩き始めると近い。高級マンションが林立する中を200メ-トルくらい歩くと美術館の敷地である。入口から人人人人の列で、展示物までの距離がかなり遠い。
ジブリ展の魅力は一枚の原画だった。宮崎駿監督がこんなものを作りたいという原画を描く。それがいろいろなものを生み出すから不思議だ。もちろん話のあらすじや人物、景色という絵が無数に描かれている。映画になると、インパクトのある宣伝文句も必要だ。それが次々に生み出されて形になっていく。そんな制作過程のメモやらスケッチが展示してある。台本もはんぱない。そしてなにより計画表に見とれる。この計画表も芸術だ。工程表とか進行表とかいうものだろう。スタッフの仕事が配置され、書き込みがされて、色とりどりの一枚の絵に見える。この映画の制作に携わった人々の姿が浮かんでくるようだ。トップの仕事は、はじまりにたった一枚の絵が描けるかどうかなのだろう。
オ-ムと呼ばれる虫の模型も展示してあった。風の谷のナウシカに出てくる空想の蟲である。原爆を使い、地球をほとんど住めなくした人間の過ちから生まれた。原作では戦車よりも大きく、何万匹も集まって行動するため、一度暴走したらだれもとめられないという設定であった。模型は縦が3メ-トル、長さは5メ-トルもある。堅い甲羅に覆われた質感もよく出ていた。腐海と呼ばれる汚染された土地の奇抜な植物や他の蟲といっしょに展示されていた。アニメの世界になじんでいるせいか。本物と感じてしまう。
現実よりも現実に近い世界を追求しようとするアニメは新しい考え方を模索する必要性を突きつける。どんな未来がやってくるにしろ、それはすべて私たちが作り出すものである責任は重い。