きばっど スイッチの入れ方 2019.5.31
人間の成長は動物や植物の生長と少し違う。ある日突然やってくる。これを「実存の飛躍」と哲学用語では言うらしい。精神的な変化が外見にまでも及ぶのも人間の成長の特徴だ。自称歴史マニアでもある私が思いつくのは次の言葉だ。「男子三日会わざれば刮目して見よ」ということわざである。人の成長はいつ何時訪れ、変わっているのかわからない。そこで、3日会わないとずいぶん変わっているのでしっかり見なさいということだ。来年の大河ドラマ「麒麟が来た」の主人公明智光秀に関する評価だ。秀才の誉れ高い光秀をかわいがっていた斎藤道三はこの若者の短い期間での成長を見抜いてこうつぶやいた。深い。
ここまで話していると、医学界で言われるDNAスッイチに思い当たった。近頃、遺伝子治療などでよく話題になっている。このスッイチ次第で病気にかからない体になり、寿命が延びるらしい。可能性を現実にかえる夢のような話だ。あの火事場の馬鹿力だってこのスッイチonしたのではと思えてくるから、不思議だ。それではどうすればこのスッイチが入るのだろうか。やはり、外部からの強い働きかけは必要だろう。練習で体を鍛えるのはまさにこの部分だ。勉強だってやらないことには入らないだろう。つまり、質より量の部分が大きいと推測できる。努力にまさる天才はなしではなく、努力するとスッイチonになる。あるいはなりやすくなっていると考えてよい。
どのくらいでスイッチが入るのかを私なりに考えてみると、体の細胞が全部入れ替わるのが3ケ月、運動して筋肉がつくのもそれくらい。しかし、スイッチはもっと速く入る。個人差はあるが、勉強をがんばると早い教科は1月で成果が出てくる。成果が出ないからとあきらめてはいけない。3月がんばると体が変わっているのだ。当然、成果も出てくる。スッイチは間違いなく入っているので後は本人次第である。継続すれば、必ず成果はついてくる。
時間をかけるという勉強法は量の勉強法である。いくつもの教科を決められた時間内で終わらせるとなると質の勉強である。宿題は量の世界だが、予習は質の世界である。自由な時間で読者や趣味の音楽をしたいと考える人は「量より質」の勉強をやるべきである。最初から質の勉強はできるものではない。質を高めるためにもある程度の量をこなして、スイッチを入れておきたい。人間がこの地球で生き残り、文明を築いてこれたのは自分をデザインする力があったからだ。しかし、ある程度の時間は必要だ。そして、努力と創意工夫がなされて、自分が変わっていく。この過程や力を分析すれば、効率よく自分を変えていくことができるはずだ。
今までは心のスイッチオンと意欲面での話が多かったが、DNAスッイチを考えていくと体を動かすことから変わる過程もあるようだ。スイッチが入ると人は間違いなく変わっていく。