階段も坂道も
歩く機会を増やそうとあちこちの階段を登ってみる。階段といっても個性があり、いろいろなことに気づく。偶数や奇数、そして踊り場の有無など、一度、興味をもつとおもしろい。そう言えば…と思い出した。教頭で勤務した吉田南中の新校舎三階(そのころの呼び名)への上り階段は、最終段が半分か2/3くらいの変則段だった。建て増し部分の関係なのだろう。暗い中、戸締まりに回ると、降りる時、踏み外しそうになり、びっくとすることがあった。赴任当初は登りと下りが違うのは…と、職員室でのおなじみ学校の怪談に脅された。
建物の外に設置される非常階段は、下が見えるために高所恐怖の方にはなかなかきついものだ。ところが、ショッピングモ-ルの非常用階段は広く、踊り場もある。手すりがあれば、傾斜も緩い。急いで逃げるには実に好都合である。火災や地震では待避手段は徒歩が原則だ。エスカレ-タもエレベ-タは止まってしまうと考えた方が良い。初めての場所でも、表示を探して、確認しておきたい。芸術的ならせん階段である。かたつむりやうずまきのようにぐるぐる回って上り下りする。傍から見るからにはおもしろいが、人一人しか通れないとか、狭いとか考えると、この階段はいざ逃げるには一般的ではないようだ。
階段もだが、坂道も健康にはよいという話を聞く。平地を歩くより、少し負荷がかかるくらいがよいのだろう。階段と坂道の違いを考えてみると、坂道が自然だとすると階段は人工物である。富士山が見える坂は富士見坂、夫婦で歩く夫婦坂、ネ-ミングは階段よりぐっと感情が入る。鹿児島も急傾斜地に住宅があることから、坂道には不自由しない。階段はのぼりくだりも人を意識していると考えてよい。坂道にはそれがない。自由なのだ。どこがちがうのか?
○坂という坂道グル-プというアイドル集団があるが、坂道とどう関係があるかは今一つわからない。「大人の階段をのぼる」という歌詞からすると、坂道も成長の途中という青春のイメ-ジがあるとこじつけたい。この時期は、桜のつく「桜坂」も忘れられない。実際にある坂で、桜満開時は名所になるらしい。階段を上り下りするのと違い、景色や人の生活を感じられるところが楽しいのかも知れない。東京名所の一つになっているこの坂で例の曲を歌いたいものだ。
坂道の歌もいろいろあるが、のぼりとくだりでは意味が大きく違うのもおもしろい。青春と老春、坂道の高低が人生を山登りに例えると気づくのかもしれない。登ったら必ずくだる それもまた結構と思える。感傷に浸る前に、健康づくりといきたい。カロリ-消費は階段が高いようだが、坂道の方が気持ちも明るくなりそうだ。季節は春、心の「張る」季節だ。7年度も新たな坂道をあるいて、山の頂をめざしてみたい。さあ、登り道には明るい日差しが降り注いでいる今日から歩きだそう。