おらがまちピッチ2
発表者は「鹿児島の自慢」を集めて、それらを紹介して、聞いた人に鹿児島へ観光に来てみたいと思わせる。行動まで起こさせるというねらいである。だから、このプレゼンはピッチといえる。どれもが見事な出来映えだった。キ-ワ-ドの取り上げ方と時間の活用がピッチの命である。ビジネスマンが商談相手と廊下やエレベ-タ-の中で語ってその気にさせるという例でよく説明される。ピッチはプレゼンよりアクティブである。明るく、楽しく、相手をその気持ちにさせなくてはならない。鹿児島自慢を発信して、観光客をふやすなら、この手法はピッタリだ。
相手とのコミュニケ-ションをとれる英語を駆使できると、相手の感情を揺り動かすことにつながると感じた。ピッチでは「フック」と呼ばれる相手の心をつかむ工夫を大事にしている。疑問文で、選択肢を与え、意志決定をさせる。この質問で自分はどうしたいのか、どう考えるかなど、自分事として考えさせる。話題との距離がぐっと縮まる作用が働き、話の内容に入り込むのである。
このようなビジネスピッチに中・高生がどう関われるのかを見せてもらった。各発表者が工夫した、提示資料や語りが実に面白かった。課題提示に使うシ-ト、写真、途中でのアトラクション、パフオ-マンス、大人顔負けの話力には何度もびっくり、さらに、寺尾さんの絶妙なト-クは緊張していた生徒の心を開き、回を追うごとに全員がピッチを楽しんでいた。表現することの楽しさを体感できる取組にこれからの学びの可能性を感じた。同じテ-マを考えて、みんなと交流できることの楽しさを十分に学んだ。「学ぶは楽しい」がこの世界だ。
このピッチが世界へ飛び出すことにつながっていくと思う。NICの広田校長先生は自分の体験から海外での学びの重要性を語られた。若い時代に海外にふれることがその人の一生にどう影響するのか、わざわざサツマステュ-デントを取り上げてくださった。江戸末期、鹿児島から世界へ飛びだした若者たちの勇気と真剣な学びの話である。「やればできる、やろうとすれば新しい物語が始まる。人は可能性のほんの一部しか使っていない。みんなはチャンスを活かして世界へ羽ばたいてほしい」と語られた。いろんなピッチで盛り上がった今日は、だれもが世界に飛びたてるそんな気持ちになるから不思議だ。世界で活躍する1万人のNIC卒業生の母である先生の言葉は感動的だった。
新しい学びは常に学校の外からやってくる。今回の経験は生徒、先生方に学びの楽しさを感じさせたに違いない。新しい体験は自分のものになり、その感動がその人の何かを変えていくと信じている。「おらがまちピッチ」での出会いに心から感謝したい。