問題の展開図
サイコロの展開図で1の反対にあるのはふつう6である。展開図というのは実に便利なものである。平面を使って立体を考えるのに好都合だ。実際に、はさみできって組み立てると、見事サイコロになるからあら不思議。
この要領で「問題」の展開図を作成してみたい。サイコロイメ-ジであれこれと悩んでいると、反対側にある数字を見誤ることになる。そこで、要素間の関連や反対の要素を平面にまず置いて、考えてみるとおもしろそうだ。サイコロ立方体なら6つの面がある。だから、6つの要素を書き出す。要素となる問題はさまざまな形をしていそうだ。それらが正方形なら簡単に立方体になるだろう。考えると、正方形より三角形に近いとなら、線を増やして正方形にすることだ。今の課題の形を正確に認識して、正方形にするにはどんな修正・改善が必要なのかと、まずはここから問題解決の糸口を考え始めるとよい。
最近の中・高部会で取り上げられた「授業態度と作業」をこの展開図にしたらどうなるだろうか。たぶんに、「授業態度が悪い」とか「作業ができない」と書き出そうとしても、正方形にならないパタ-ンだろう。理想に近づくように直すのも大切だが、きちんとできるイメージから、どこが欠けているかを考えて見える化したい。同じように「私語」や「忘れもの」は形が悪そうだ。次に「発問に答えるか」、「指示に従うか」も、話題通りならこれもあまりよくない。どちらも正方形にしないと理想的な立体を作るのは難しい。次は「時間厳守」である。教師、生徒も守ってほしい。早く始まり、ぎりぎりまでは迷惑千万。時間通り始まり、時間通り終わるが一番。6面体のうち4つも正方形にならないでは、立体ができるはずはない。6つの正方形をまずは作ることになりそうだ。その具体策はさてどうするのか。
授業始まりは意識を揃えたいと、集中できない生徒をつい注意したくなる。これをやり始めると時間がどんどんすぎる。計画されたものを教えられない。
こんな授業が続くと、生徒も教師も余裕がなくて、ぎすぎすするから悪循環になり、生徒が指示に従わないようになる。こんな場面を想定して、教えることは少なく、「黒板に1文字しか書かない」ぐらいで丁度良い。
正方形に近づけるには、メタ認知させることだ。「ふりかえり」がキーワ-ドである。授業を受けている自分をもう一人の自分が振り返る。生徒自身に正方形を意識させる。基準が甘いと、辺が足りない図形になり、立体になるはずもない。今日の自分の取組や授業内容について書かせてみたい。教えっぱなしもよくないが、学びっぱなしもよくない。自分で反省する機会を与えるには、自由に感想を書かせてみることだ。かけがえのない時間を友と共有しているという意識が目覚め、授業に集中できるし、必要感が高まれば、知識を身につけたいと努力するはずだ。