よい授業づくりのポイント
「授業で勝負」という言葉が、教師の覚悟としてよく使われる。授業ができないと一人前ではない。なりたての頃は生徒がすぐ騒いだり、余計なことをしたり…注意ばかりのてんやわんやで隣の先輩からよくお叱りをいただいた。おもしろくない授業を聞いてもらえるほど、生徒はお利口ではない生徒指導困難校での話だ。とにかく、授業管理なんて知らないから、「一生懸命に取り組ませる、面白くなる方法」を毎日のように考えていた。
興味・関心のある話を必ず5分する。教科あるあるのネタをいろいろと準備した。新聞やニュ-スで取り上げられた新鮮なものを使う。当時、はやりの宇宙戦艦ヤマトの歌詞を黒板に書いて、品詞分解するという導入はまあ受けた。歌謡曲ネタや物語ネタ、はては、小学校の教科書にある教材を持ち出し、品詞分解していた。百人一首を毎回最後のまとめに取り上げては…全然受けなかった。やはり、実態把握が甘く、古典を持ち出すのは難しいと気づかなかった。
教材のもつおもしろさを探す。驚きや新たな発見を仕組む。授業の組み立てをゲ-ム形式にする。国語教育にあるまじき部分もあったが、「生徒の興味・関心を引く」という授業の「導入」について考えることができた。しかし、これだけでは授業の質をあげることができない。とにかく、考える時間を作ることだ。そして、考えたことを言わせること。「数学のように考える筋道がわかり、答えがきちんと出る」を国語で体験させたいと考え、「課題設定学習」に取り組んだ。自分で問題を作り、それを解く。結果、内容理解ができる。内容と方法を学べる学習だと理解した。まずは、課題づくりに取り組んだ。学ぶ教材のどこにでも問題があると宣言し、生徒に問題を作らせた。「こんな題名になったのか」、「この指示語はどれをさすか」とテスト問題になりそうなものから、答えが出るのかなと悩むものまで、作らせると、出るわ、出るわ、その問題を整理するのに時間がかかり、授業どころではなかった。しかし、生徒たちとのやりとりを重ねるうちに、「この問題を考えると、内容がよく理解できる」と話し合いができるようになり、自然と2~3個に絞られてきた。なぜか、生徒のやる気は高まり、授業に興味をもつ生徒も増えてきた。閑話休題。
授業の始まりに必要なのは、興味・関心を高めることである。「学びたい、知りたい」の意識を高める工夫をぜひやってほしい。Q効果と言われるものだ。人は「おや?どうして?」と思うと、「知りたい」のモチベ-ションが高まる。理科の示範実験や実物提示などがよい例だが、とにかく、これで授業が決まるといっても過言ではない。生徒の心をつかむために、情報収集に心がけ、教材の本質とどうつなぐかを考えたい。そして、授業の終わりの振り返りで使えるものなら、最高のネタである。「授業で勝負」の1時間は生徒にとっても、教師にもかけがえのない時間である。