言葉ありき
新しい学級のスタ-トは支持的な風土づくりからです。自分も他人も大切と思えるようなクラスをつくるためには、言葉はとても重要です。言葉一つで心が開き、言葉一つで心を閉ざすものだからです。4月のこの偶然の出会いを必然の出会いに変えていくことが担任の仕事になります。会うべき人に会ったと信じられる経験にしていきましょう。そのためには、お互いを肯定できる場をつくりあげましょう。そんな願いをこめて、まず「言葉ありき」です。
今年も「一秒の言葉」の指導をよろしくお願いします。まずは、生徒前で読み上げます。そして、生徒たちの目の付くところに掲示してください。それから、新しい自分、新しい友人との出会いを語り始めましょう。「はじめまして」は初心にかえる言葉です。人は細胞レベルでは毎日生まれ変わり、短くて2週間、長くても3ヶ月と言われています。だから、自分もふくめてみなさんと「はじめまして」なのです。また、今日は「ありがとうございます」について語ろうと、担任の体験や思いも付け加えて語りましょう。全部の言葉を取り上げなくても良いのです。この学級に必要なものを担任の考えで語りましょう。朝の会、帰りの会で一つずつ語り、1週間をかけて、全部を取り上げ、自然と一秒の言葉を紹介してください。礼法指導であいさつの必要性を取り上げますが、口からでる1秒の言葉には自然とおもいやりや感謝がこめられるのです。
この指導が終わる1週間後には支持的な風土ができあがることでしょう。言葉の力は不思議なもので、人と人との距離を近づけます。心を開いて友人を見つけたいと思う新入生には大事な1週間です。言葉を大事にして、心の距離を近づけましょう。新しい出会いが必然になり、必要な人に出会う機会になります。「人は出会いの数だけ成長する」という言葉は、そこに出会うべき相手がある前提です。よき出会いはよき人に会えること、よき人はよき言葉とともにあなたの目の前に現れる、お互いが相手を大事な人だとで思えるためにも言葉を大事にしたいのです。
新入生と呼ばれるのも1ケ月、自然と育英館の生徒になったと思っている2年や3年には、ぜひ初心を思い出してほしいのです。「がんばろう」は出会ったライバルがいてこそ、心に響くフレ-ズです。いっしょに優勝をめざす友人がいてこそ、安心して使える言葉です。進級した学年で「今年もがんばろう」と初心からのスタ-トを意識させてください。「できる人は、できるところで、できるだけ」学級や部活の中、遠慮せずにやれてこそ、まとまりはできていきます。がんばっている、前向きな人を支持させましょう。それなら、自分もできることをやれます。お互いさまで学級をつくりあげていけるのです。道義に徹するにはよき人であれと言いますが、よい言葉を使える人は、よき行動のできる人だと思います。