話つくり
講話をする際に、「生徒に何をどう語るのか」と考える。とにかく実践につながるように語りたい。聞いただけで終わる話は学校にはいらない。陽明学ではないが、「知ることと為すことの合一」をはかるように語りたい。そのためには、実践の意欲を高める工夫が必要だ。心に火をつけるとでも言いたい。
まず、材料集め、たとえば「過去と、今と、未来と」の視点で集めてみるのもおもしろい。最近終わった行事の反省を取り上げ、やりとげたこと、まだ、やりたいこと等で問題提起をする。過去に取材する話である。現在に取材すれば、生活記録や学級日誌からここ1週間で生徒が一番考えていることを取り上げてみる。次に、未来に取材すると、今後の教育活動や行事を取り上げて、これからの計画や時間の割振りを話題にしたい。これらを要領よく、5分程度まとめて、話を準備する。今時の生徒は10分持たない子もいる。それ以上となると、よほど興味のある面白い話でないと、ほぼ聞いていない。
「話の後で、書いてまとめて提出!!」と予告すると、聞かせる工夫にはなる。話の中に、ガイドやリ-ドを置き、レジュメを作成して、話す順番を知らせておくと、メモを取りやすい。まとめの部分で話を振り返り、内容を番号順に繰り返すのも効果的だ。「1番目の話はこんな内容でしたね。」「2番目はここがポイントだよ。」、「3番目にはこんなキ-ワードを使いました。」と具体的に振り返るとよい。注意を高めたいなら、小道具の準備も必要だ。大きな文字、写真などを活用してもよいし、わざわざ板書するのもけっこう効果はある。たくさん与えないで、これだけという感じだ。視覚や聴覚に訴えると、自然と定着は深まる。言葉だけでなく、話を立体化することも大切である。五感に訴えるはだれが使っても効果ある技だろう。話し手の得意なもので引きつけること、ジェスチャ-やダンスなどの動きを入れてみる。自然と印象に残る話になる。
夢を語るとか、ベクトルを揃えるためには、内容は同じでも対象により、言葉や間の使い分けは必要になる。共通の基盤で語るためには、事前リサ-チは欠かせない。受けポイントを押さえ、語り始めることが必要だ。枕やつかみの部分は、遠慮せずガッチリつかむ。同じペ-スで語ると当然眠くなる。処理速度をこちらで調整して語る。少し早口なら、うかうかと聞き漏らさないと集中するし、ゆったりと話すと自然と耳に残る。一律に記憶されないことも含んでおきたい。共通概念をもたせるには、聴衆の世代幅が小さいとやりやすいが、違う時には、言い換えや具体例を追加しよう。まとめ部分で大事なのはそれぞれに関係性をもたせることである。ポイント同士を共通するものでつなぐと、重層化、構造化された話題になり、印象深く心に残る。どこか一部でも覚えていると、全体を連鎖的に思い出すという効果がある。