夏の終わりにエリスと
コロナは聞くとなるとでは大違い。今まで経験したどのカゼよりもバラエティに富んだ病状を体験できた。カゼ症状のオ-ル折詰という表現がぴったりである。8月31日(木)の明け方、寝つきが悪く、体の各部の痛みを感じた。かねて痛い所が増幅される感じである。首なら首筋、腰や背仲で傷めた所があれば、そこが思い出したように痛い。内臓が悪く、その関連痛なのか、肋骨の前のカーブに沿って痛い。咳をしたのかな? その分が痛みを助長しているのか。身に覚えがないが、とにかく痛い。これだけあちこちが痛いと、「痛みで死にそう」という表現にぴったりだ。もちろん死ねないので、ずっと痛いという構造だ。
朝一、支給されたキットでコロナ判定を試みた。検査キットの指示通り、検体を採って数滴落とす。15分後に線が2本、コロナ陽性である。熱は37.5度
病院に電話をかけて指示を仰ぐ。コロナと診察後、投薬5日分を受け取り、自宅へ帰る。次第に熱が出てくる。寒い。38.9度まで上昇。薬を飲んで横になる。
今回の変異株は通称エリスとかいう名らしい。「一つ家に遊女も寝たり萩と月」は美しい遊女を思い浮かべるが、今回、いっしょに寝るエリスは本当に恐ろしい。3日ほどお付き合いしたが、その熱烈さ、過激さには体中の骨がきしんだ。鬼滅に出てくる上弦の鬼と同じだ。(堕姫を連想しそう)体を引きちぎるとか、強く打つとかを思わせる痛みだった。とうてい寝てられない。「取り殺される」には近い状態なのだろうか。昔話に出てくるいろいろな鬼のイメージと重なり、体調の悪さや心細さも手伝い、コロナの怖さをつくづくと思い知った。心もやられる病である。ところで、女神エリスなんて誰がつけたのだろうか。38度台で移行するときはさほどないが、37.8くらいの熱になると痛さが出てくる。おかまいなしに痛い。体のいろんなところがミシミシと音とをたているようだ。
コロナの検査キットを使う前、熱を測るように促した奥方の言を借りると「熱がオ-ラのように体を包んでいた。」である。熱が見えるくらい体に蓄熱されていたようだ。当然、病院でも38.5度となり、この日の夕方は38.9度まで上昇した。高熱になると倦怠感が半端ない。死んだように生かそうとするカゼである。この倦怠感は半端ではない。やる気が全く出ない。エリスは恐ろしい。
解熱したので登校しようと考えたが、このコロナの巧妙さに気付いた。感染力ピークを従来型とずらしている。つまり、感染直後から長く感染できる特徴をもつようだ。解熱2日して1日おくと復帰できるが、解熱後もエリスは痰や咳の形で体内に残留し、社会復帰した個体から別の個体へと移動する。そうやって感染を拡げる仕組みだろう。気のゆるみにつけ込むのだから、確実に感染できる。エリスは執念深い。今回のコロナは重症化しにくいとあるが、なかなか大変だ。くれぐれもご用心あれ。