夏こそ学力向上のタネまきを
健康診断結果を今度こそ活かそうと考えるきっかけは人間ドックである。理由は簡単で、自分の健康状況が数字によって見える化されるからだ。調子が悪いといいながら、ごまかしてどうにか生活している。ところが悪いのが明確に数字で示されると、これはある意味、ショックでもある。(苦つながりか?)
学力検討会は生徒の「人間ドック」といってもよい。先日の検討会の結果を受けて、各教科は指摘された事項に取り組んでいるだろう。詳細に各教科の問題点もあげられている。これこそが、病気が本格化する前の予防措置を考える材料となる「ドック結果」でもある。その意味で、指摘された事項の解決に取り組み、病状を改善することのできる夏休みは一つのチャンスでもある。
学力向上には3つポイントがある。学習内容、学習方法、意欲である。内容は教科の問題と片付けられそうだが、日本語で理解していくとなると国語力に負うところは大きい。司法試験の基礎はよく漢字と言われる。一般的な漢字から訴訟や裁判で出てくる漢字まで、これらが書けないことには話にならない。漢字が肝腎とはうまいシャレで、なるほどと頷ける。「問題を見てもさっぱりわからない」という受験者に基礎となる漢字学習から始めて5年かけて合格へ導いた先生の話は真実味がある。どの教科にしても小・中学校での基礎の未学習を段階的に指導するなら、これぐらい(最低5年)は覚悟したい。なかなかそういうチャンスに恵まれないのが実状で、積み残して年だけを重ねている場合が多い。今年の夏に、できるだけ、下の学年・学校の分も勉強させたい。
次に学習スタイルである。学習方法と時間の使い方と言い換えてもよい。机の上をかたづけてから、勉強を始める人がいる。机の上は終了時に片付けておきたい。毎回かたづけに時間をかけ過ぎて、いざ、始めるときには時間がなくなっているのではないか。集中するためにもやはりすっきりしてスタ-トしたい。それができない人はどこでもやれる勉強をクセにしたほうが効率は良い。そんなタイプが受験には強い。机の片付けで勉強が終わるのでは本末転倒だ。
もう一つはモチベ-ションである。三日坊主的な性格を改造して、これを高めるのがねらいである。どんなことでも、やりとげたら自信になる。だから、チャレンジさせることだ。夏休みに課題図書読破が奨励されるのはそのあたりにある。内容面の充実は教科でがんばってほしい。また、学級担任は学習スタイルの改善やモチベ-ションの喚起に積極的にかかわってほしい。
「学春」は「育英館であなたの学びを見つけよう、あなたの学びで夢を実現しよう」をめざす。生徒との距離の近さはそれを実現する。ぜひ、教科担当と担任でこの発見にも力を注いでほしい。教科での教育相談を実施して、自分に合う新しい学習スタイルを身につけさせてほしい。