マンフェイス評価
昭和時代にスマイルバッヂが流行した。あのデザインはsmileyとかsmiley faceと呼ばれた。笑顔マ-クはヒッタイトの遺跡にもあると聞いたことがある。ネットで調べると、「1963年アメリカ マサチューセッツ州の生命保険会社のキャンペーン用のマークとして、グラフィックデザイナーのハーベイ・ボールがデザインした。 70年代にはマグカップ、Tシャツ、バンパーステッカー等にも描かれた。71年には日本のサンスター文具からラブピースシリーズとして売り出された。そのため、日本ではピースマークとも呼ばれた。」とある。なるほど、英訳から考えると、ニコニコマ-クと呼んだ人も正解だ。流行した理由は、顔の表情ととらえられ、だれもが好きな笑顔に見えるからだと思う。
人間にとって母親の表情が最初の評価である。自分が関わった行動は、母親の顔で「よかったのか、わるかったのか」がすぐにわかる。もちろん、スマイルでないときは、自分の行動は母親にとってよくないものであったということだ。他人の表情を読み取り、自分を修正する能力はかなり幼い時から視覚を中心に育つようだ。不完全な存在として生まれる人間は、育児放棄されたら、生死にかかわる。赤ん坊はかわいく、愛される存在でないといけないようだ。
不完全な幼体として存在するので、基本、手がかかる。最初のうちはその笑顔にだまされて親は育てる。しかし、うんちはする。夜泣きはする。半年もすると、さらに手がかかるようになる。さすがに、ふきげんな表情で赤ん坊を見る。ここでも、基本的にかわいいので、笑顔にだまされつつ、育児を続ける。しかし、しゃべったり、ごはんを食べたり、トイレをするまでに成長する。ここまでくると、やりたい放題ではこまる。当然、躾ける、叱る場面も出てくる。今まで笑う目が多かったおかあさんの目もつりあがったり、一直線になったりする。スマイリ-でなくなる。このシグナルを赤ん坊も敏感に感じ取るので、自己修正をはかるようになる。自分を変えながら、独り立ちへの成長が始まる。だれもが通った道なので、表情による評価は身近で実にわかりやすい。
年齢が上がるにつれて、他人の表情で自分の行動を評価する。一目で、どんなことを考えているのかと、感じ取れる人も出てくる。評価の情報は、「○ ▽ ×」になったり、「5 4 3 2 1」になったりしていく。これらに慣れすぎているからこそ、顔の表情スタンプは有効だ。笑顔のマ-クで相対的評価を忘れて、絶対的評価の時代を思い出させたい。丸い目でにっこり笑ったおかあさんの顔をめざし、自己修正した日々である。これなら、素直に評価を受け入れられそうだ。ぜひともこの評価で生徒たちの1学期の成長を評価したい。また、足りない部分を直せるように、修正の時間も保障したい。マ-クなら構えずに、生徒たちも楽しんで自己修正ができる。フィ-ドバックされた評価を一つでも笑顔マ-クにできるように努力させたい。