学級設営
昭和の話になるので申し訳ない。学校で設営コンク-ルがにぎやかだった時代、学級カラ-や学級目標にあきたらず、テ-マ性をもった設営も出てきた。当時はやりのジブリの世界観で学級の設営がなされた。生徒たちは熱心に取り組んだが、さすがにまっくろくろすけが天井に多数いるのにはこまった。コンク-ル審査でも賛否両論で、担任も苦慮したが、「授業での集中力を欠く」と泣く泣く外させた思い出がある。
学級はホ-ムである。生徒たちの心がやすらぐ場所でもある。当時の生徒たちの大好きなメイとサツキの家にしたいという気持ちはわからないでもない。そこで一日、いろいろな教科を学習するわけだから、心が他に向かってしまうような色づかいや奇抜な形はどうかとこの部分は譲れなかった。前を向くと、先生がいて、黒板に書かれたものを見て学ぶという基本スタイルを妨げたり、集中できないのでは、やはり学級設営としては不適当だろう。前面掲示では、スロ-ガンや目標を落ち着いた色でお願いしたいものだ。しかし、側面や後面には、学級の特色を出しながら、生徒たちの心が落ち着く、整う場所となるような工夫をしたい。また、自分たちの成長や達成感を味わうことも大切である。行事や日常を省みるきっかけを掲示したい。そのためには行事の感想を書かせるとか、活動の記録を写真として掲示するのは効果的だと考える。
係活動の記録を毎月積み重ねるために、ファイルに綴じ込む形で掲示するのもよい。また、長期休みの学習成果を展示すると、お互いの取組を直かに見ることができるので、学習への興味・関心を高まり、学ぶ意欲につながることになる。学習ノ-トやレポ-トの展示も、やる気を出すために取り上げ、成果を認めることで共有される。掲示される生徒は、モチベ-ションを高め、自己肯定感の高まりにもなる。ただし、生徒の気持ちを考え、掲示する際には承諾を得ることも必要である。担任の言葉だけで十分であるというなら、掲示しなくても良い。ほめたつもりが、心を傷つけたにならないように配慮したい。
話をもどるが、学級年表ブ-ムもあった。背面上部に右から左まで広幅用紙が貼られて、そこに学級の出来事を記していく。4月から行事の度に反省や成長したことを書き足す。右端からはじまり左端に至ると、懐かしさと成長を実感できるすぐれものだった。設営は担任の特色を出すにも都合良かった。国語や社会なら、新聞切り抜き、読書紹介も活用したい。三分間スビ-チの原稿もあるだろう。学ぶ意欲を喚起するにも好都合である。音楽会案内や芸術作品の写真もよい。掲示教育はさりげなくだが、その効果は大きい。「少年老いやすく学成りがたし」の一文を掲示するとやはり意味を知りたくなるようだ。生活記録の話題にもなる。心のよりどころを作り出すことになるだろう。