5月16日、バレエを市民文化ホ-ルで鑑賞した。コロナ禍ではあったが、感染症対策の上での開催だった。コンサ-トなどもなかなかのご時世だからか、観客はずいぶん多かった。ドンキホ-テを取り上げた3部構成の舞台であった。この1部と2部に本校生徒の2名がプリマ(たぶんこう呼んでおかしくない)で登場した。踊りのことはよくわからないが、回転、ジャンプ、静止と体の動きをコントロ-ルできるテクニックにすごいとしか言いようがない。
ドンキホ-テの物語を縦糸に、恋人同士が駆け落ちをして、無事に結ばれるという話の横糸で作られていた。もちろん、ドンキホ-テはよく知られた話だから、彼のこっけいな話がベ-スになっており、コミカルな動きも随所に盛り込まれている。恋人同士のバレエに見られる愛情表現とともに、ドンキホ-テが花嫁候補にもちょっかいを出したり、あこがれの姫にデレデレしたりとおもしろい動きには原作の味がうまくミックスされていると感じた。
ただし、バレエ作品なので、踊りの見せ場がやはり多い。喜びの表現や愛のかけあいなど、ダイナミックさと美しさがうまく溶け込んでいる。テレビで見るのと違うライブで味わう本物感がたまらない。主役級の踊りはうまいのはわかるが、それを支えるみんなの踊りもなかなかである。手をわっかのようにあげ、背伸びをするポ-ズをキ-プするのも本当に大変だとわかる。赤や黄色という色鮮やかな華麗な舞台にはしばしば目を奪われた。登場人物の衣装は華やかである。建物や自然もヨ-ロッパを感じさせるような設定だ。ドンキホ-テだから、オランダのイメ-ジか?それにしても一つ一つが目の保養で美しい。
とりわけ、バレエを踊る女子生徒の姿にびっくり、学校生活で見かける姿より一回り大きく見える。舞台の上で堂々と踊り、それだけ役になりきっていると言うことなのだろうか。かねての大人しい姿からは想像もつかない大胆な踊りである。ゲストのバレリ-ナにリ-ドされ、軽やかにおどる様子に見入ってしまった。若さは可能性のかたまりである。後生おそるべし。中学校に入った時から、バレエを習っていると知ってはいたが、高校2年になるとこんなに成長するのだろうか。花が開いたという感じだ。若いときは10年続けるとはこんなふうに自分のものになっていくのだろう。本人にとっては10年と口で言うほど簡単ではなく、それぞれに中途半端な努力ではなかったと思う。 2日後、一日遠足でこのプリマ女子生徒は何事もなかったようにレクレ-ションを楽しんでいた。2日前のあの舞台での緊張感は半端なものではなかったはずだ。鬼ごっこやドッジボ-ルを他の生徒とまったく変わりなくやっている。もちろん、姿勢がよく、動きも俊敏なので、遠目でもわかる。生徒の横顔は見えているつもりでもなかなか見えていない。しかし、期待を裏切る成長ぶりに出会うとこちらもうれしくなる。若さと可能性は近い関係に間違いない。