今年の学園のスロ-ガンは、「感謝」である。「感謝」とは、ありがたいと思う気持ち、他人に対してのお礼の気持ちと辞書にある。これは、建学の精神の「道義」に当たる部分である。
私学の経営は貴重な授業料をもらい成り立っている。今、学園があるのは、建学当初から学生、生徒が絶え間なく学びに来てくれたおかげである。
その原点の気持ちをけっして忘れないでほしい。
学生、生徒、保護者へ接するとき、常にこの気持ちをもちたい。また、それぞれの学校へ送り込んでくれた先生方への感謝も忘れないでほしい。そんな気持ちを持ち続けると、日々の教育活動の中にも表れる、学校が変わってくる。一人一人が学校という職場で働けることへの感謝を忘れないでほしい。
素直に「ありがとう」がいえると、学校はもっとよくなる。生徒への感謝の気持ちを表すために、握手での送迎もよいだろう。学生、生徒と心を一つにして、「感謝」のもつ無限の力を信じたい。今年はとことん「感謝」にこだわりたい。
上記は年頭の挨拶のスローガンを語られた部分をまとめてみた。とことん「感謝」にこだわりたいという結びの言葉は、建学の精神の「道義」を意識し、過去のスロ-ガン「日章の心」などともリンクしているようだ。
また、同じくスローガンになっている「原点」という言葉にも大切な意味がある。周年行事が必要な意味は原点を思い出すところにある。学園歌を歌い、建学の精神を唱和するのは、原点回帰の具体的な方策である。しかし、原点を知るために、学校の歴史を語ることもぜひ必要だ。
話の中に出てきた「心を一つにして」という言葉を考えてほしい。生徒と心を一つにするためにも職員が心を一つにするべきだ。言い方にも個性が反映されるだろうが、方針として確認されたことを指導するのにブレてはいけない。一枚岩の生徒指導は、教職員として指導する時、それがブレないという点を指している。心を一つにするは掛け声でなく、実行である。
さて、話は先へ進むが、感謝を具体化するには、「ありがとう」を声にすることだ。学校の中で、「ありがとう」が多く聞こえれば、もっとお互いの気持ちが近づくに違いない。スロ-ガンとして掲げるだけにしないで、教師が率先して行動化することを今年も考えていきたい。感謝の気持ちにある無限の可能性とは何か、それは自分のために相手がやってくれたと思う気持ちの構造を考えてみればわかる。自分で自分のためになることをするのは当たり前である。他人との関係で、これに類するような感動があると、「有難し」だ。なかなかないことだから、「ありがとう」と感謝する。家に帰れば、ごはんがあるとか、風呂に入れるとか、ふつうだと思っていることもよく考えてみると、「有難し」なのである。そう気づいたら、声にして「ありがとう」を伝えるべきだろう。「ありがとう」をすらっと言える、感度の良い人間になりたいものだ。