英語の修行という名のもとに映画を見に行く趣味がある。今年も気づいてみれば、海賊に、くも男に、ミイラ、魔法使い、雷神にといろいろ見てしまった。意味は今一つでも英語の発音の心地よさに、そして、あの独特のジョ-クにひきこまれてしまう。
今回の海賊の話の主題を聞かれると、父と息子、そして、父と娘の愛情の話だった。幽霊船フライング・ダッチマン号に閉じ込められた父親ウィル・ターナーを呪いから解放するため奔走する、勇気ある情熱家でハンサムな息子ヘンリ-、天文学者カリ-ナ、聡明で強い意志を持つ、若くて美しい彼女、その二人の間をうまくつなぐ?ジャック、この三人のいずれも主人公のような三つ巴の実におもしろい映画なのである。ところで、長く海賊をやっているジャックは同い年では?と思うのですが‥
前半、ヘンリ-は物語のカギとなる人物、ジャックを探す。その途中で天文学者カリ-ナに会う。どんな困難に遭遇しても不屈の精神を失わない彼女は実に魅力的だ。その彼女の宝は、幼い頃に生き別れた父親が残したガリレオ・ガリレイの日記である。そこには伝説の秘宝<ポセイドンの槍>につながる秘密が潜んでいる。天文学の知識を駆使してその謎を解こうとする彼女が、ジャック・スパロウとヘンリーを<ポセイドンの槍>へと導く者となるものの、自らも危険な冒険に巻き込まれていく。
会いたい人、求める物が入り乱れる。父に会いたい娘、敵に会いたい死神、ジャックが船長となる過去も次第に明らかになる。父を呪いから救い出すため、海の伝説を調べ尽くしたヘンリ-は、呪いを解く力が<ポセイドンの槍>にあることを突き止める。そして、伝説の海賊ジャック・スパロウと<槍>の謎を解く鍵を握る天文学者カリーナと<ポセイドンの槍>を探す航海に乗り出していく。自由を愛し、海を愛し、酒と女を愛する孤高の海賊。人をだます奇抜な方法を使っても、むやみに人は殺さない。人を乗せて上手に動かす、危機にあっても飄々としているが天性の策略家。そんなジャックだが、今や、彼は運に見放され、コンパスも手放し、愛する世界最速のブラックパール号はボトルに閉じ込められたままでいる。
自分のほしい物を指し示すあのコンパスも他人の手に渡る。そんな時、最恐の敵“海の死神”サラザールが解き放たれる。すべての海賊を皆殺しにしようとするサラザールの復讐を阻止できるのは<最後の海賊>だけが見つけ出せるという伝説の<ポセイドンの槍>である。なにせ、海の死神の誕生には、若き日のジャックが関わっているからさあ大変だ。このあたりは実際、映画を見てのお楽しみです。
北斗七星や北極星など、星と航海の関係や神秘をベ-スにしながらの<槍>までの謎解き、今回もまちがいなく、大切な者を示してくれるコンパスなど、細かいところまでお約束どおりで大満足。また、今回が前作、前前作、シリーズ全体のまとめになっているのも安心。ジャックは、どんなにおちぶれても「自分は船長だ、リ-ダ-だ」と語る。この映画の主人公はやっぱり彼以外は考えられない。若い世代にも魅力を感じるが、よい、悪いはおいて、海賊らしい生き方にこだわる「最後の海賊」もやはり彼以外には考えられない。悪い奴。そして、憎めない奴にぜひ会ってください。DVDレンタル開始です。