きばっど育英館 ゲ-ム迷子 H29.11.30
学校に行けない生徒がゲ-ムに夢中。こんな話は今の世の中どこにでもある。それではどんな-ムにはまっているのか。みなさん、ご存じなのだろうか。私もけっこうゲ-ムは好きだった。「ストリ-トファイタ-」に代表される対戦ゲ-ムはよくやったが、別世界に迷い込んだようなロ-ルプレイものは今一つ好きになれなかった。このゲームが多量に出回る現在は、ゲ-ム迷子になる多くの危険がある。
「アバタ-」という映画を見た時、こんな世界に自分も行けばスーパ-マンになれると思った。まさに今のゲ-ムはこの世界である。画像のリアルさもすごいが、仮想世界の現実感がなぜか半端でない。この中に迷い込んだら自分もたぶん帰ってはこれない。精神的に未熟だったり、現実世界から逃避したいと考える者や、現実世界で負け組だった自分を取り戻したいと考える者、たぶんその入り口はいろいろであろう。ドアの鍵がないので、簡単にこの世界に入ることができる。しかし、いったん、入ってしまうと、現実世界と同じである。そこには生があり、死があり、恋があり、家族がある。チ-ムなり、グル-プでゲ-ムに参加すると、しがらみや人情まで発生する。なかなか断れないとなると、仮想と言えるかどうかもふくめて、心が迷子になってしまう。ゲ-ムを壊せばよいと簡単にいうが、ゲームの中で確かな存在感を持ち出すと、その喪失感に押しつぶされる。本当にすごいものができたものだ。
中学生のころ読んだSFの世界がそこに無限に広がっている。国語の先生に注意される危険も顧みずにハマッタ「火星シリ-ズ」、火星が地球に接近するある夜、南北戦争で活躍する大尉、ジョン・カ-タ-が火星へと転移する。重力の軽いそこでは、地球人の彼はス-パ-マンであり、重いものを軽々ともちあげたり、跳躍すれば丘を一跨ぎである。悪い怪物を退治して、王女ソリスを助け、火星の王となる。彼の子供たちも金星で父親顔負けの活躍をする。それが、「金星シリ-ズ」として、SF世界は続く。一時期、夜も寝ないでジョン・カ-タ-になりきっていた。想像するから、授業中だろうが、どこでもなれるわけだが、まだまだ、現実へ帰れなくなることはなかった。帰れない点で、今のゲ-ムの完成度の高さとその危険性をもっと意識するべきだろう。私たちにもう一つの世界が存在することはない。しかし、今、生きているこの世界こそ自分がいる世界とどれだけ自信をもっていえるだろうか。こんな迷子を引き戻す手立てはあるのだろうか。そんな迷子を迎えにいくためには、自らが勇者となり、アイテムを携えて参加することも必要なのだろうか。ここまでくれば、ゲ-ム世界にも神様がいて、たまにはこんな迷子を現実世界へ追い返してくれないだろうか。
狩人となり、恐竜を殺し、生きていく世界に没入した者が、現実世界でも狩りを継続しない保証はない。確かに脳はだまされる。「空想だ」と「夢だ」と割り切れているうちはよい。プラトニックでは満足できなくなる。だまされ続けた脳がどこで暴走するかわからない。狩りをどこでも行うなんてことになれば、それは大変な事件に発展する。ゲームの中で迷子になっている若者を一刻も早く救うべきだ。ゲームの世界にない美しいものを見つけ、ふれあい、出会ってほしい。