きばっど育英館 ダブル優勝 H29.8.2
「勝機をつかんだ」という表現がぴったりの両決勝戦だった。サッカ-前半のちょっとしたアンラッキ-で1点が入った。ヒル君がブロックしたボ-ルは、だれもがゴ-ルに入らないだろうと思った。ところが、コ-スを突然変更して、まるでゴルフボ-ルよろしくラインどおりにコロコロところがった。リ-ドされたまま、前半が終わった。後半になり、とうとう走り勝ったという感じでパスが通るようになると、育英館にチャンスが巡ってきた。1点入ると、雰囲気が変わり、押せ押せム-ドになり、ボ-ルをうまくキ-プするチャンスを手にして、いや、足にして、得点へつなげた。
野球も同じで、私が応援に球場へ入ったとき、相手の1点がボ-ドにのっていた。バスを球場内に入れられず、右往左往しているうちに、試合は3回まで進んでいった。全校応援の生徒たちの到着前に、逆転劇があり、育英館が見事にリ-ドした。応援団の声援を受け、ヒット数で上回り、守備の良さでじわじわと相手を追い詰めた。途中、1点は返されたものの、3回から出塁を重ね、点数に結び付けた。まさに、勝機を引き寄せ、逃さず、勝利を手に入れた試合だった。
この2つの試合で「勝機をつかむ」までをまざまざと見せてもらった。サッカ-でも、野球でも決勝戦になると、運が左右するのは確かだ。それを乗り越えて、「1点を取るためにきちんと攻める」の重要さを再認識した。勝機はチ-ム間を巡るのでなく、自分のチ-ムに引き寄せるものなのかもしれない。日ごろの粘り強い練習やピンチの時、友達をどれだけ信じられるのかが、ここという場面で出てくるのかもしれない。伝統校が強いのは、このあたりだと思う。運よく勝つことない。勝つように練習しているのである。
極論すれば、ゴールを攻めるためには、ヒットの数を重ねる、シュ-トの数を重ねることだ。しかし、相手が強くなればなるだけそうやすやすと重ねられない。そこで、ここからが大事なことで、どんなときでも打てる、どんな時でも蹴れるようになることしかない。自分を知り尽くし、ここならやれるという場面を作れることだ。自分に自信をもつ。自分を信じられる。そのためには、とことん自分を知る努力が大切なのかもしれない。試合の場数を踏むと、自分が見えてくる。自分の弱さや弱点がわかる。自分がわからずによいプレ-はできない。そして、自分のチ-ムメイトについても同じことがいえる。自分がよく見えるようにアドバイスするのが監督の役目だろう。
将棋の世界では、AIが活躍している。棋譜と呼ばれる今までの対戦記録を学んでいるので、めっぽう強い。不得意な相手でもAIはおかまいなしだ。そこで、負けない将棋ができる。
九州大会の相手は人間である。勝機は必ずある。しかし、上位チ-ムが集まる九州大会はそれなりの力をもつ学校がライバルとなる。自分の弱さも欠点も知り尽くし、それを乗り越えて、ここぞという時に力を発揮できるよう調整してほしい。生徒たちの熱い夏を心から応援してやりたい。がんばれ。台風が迷走して心配だが、みんなの熱い思いで、青空も呼んでほしい。