「幸せのポリアンナ」という題の本がある。「よかった探し」(どんなことが起きてもその中からよかったと思えることを探し出して明るく振る舞うこと)が得意な天真爛漫な少女が主人公である。もう少し詳しく彼女を語ると、周りの人の心配事を本気で考えられるやさしさがある。そして、子供っぽく思慮が浅いところがあるものの、頭の回転は早く、思いついたことはすぐ行動に移すタイプである。
ポリアンナではないが、育英館のよいとこ探しをぜひお願いしたい。週番報告で戸締りの不備やク-ラ-や電灯の消し忘れを聞くと、「おやまあこんなにもできないの?」と思えてならない。もっと、よいところもあるのではないですか?よいとこもぜひ、週一でよいから、報告してはいかがと思っている。確かに、うっかり忘れたりするのはあるだろう。その分だれかがカバ-することもぜひ教えたい。カバ-してくれた生徒を褒めてはどうだろうか。よいとこは褒めるということももっとあってよいのではないか。善行賞に近い行動で、校内で活躍している生徒もいるのかもしれない。
さて、この物語は、どれだけ苦しい状況でも、牧師である父親の遺言の「よかった探し」をするポリアンナが印象的で、『小公女セーラ』に続くテレビヒット作となった。世界名作劇場を視聴された皆さん、思い出しましたか?この作品では『よかった探し』という言葉が創作され、視聴者の間で定着した。この原作が出版された時も、主人公の名前であるPollyannaは「極めて前向きな楽観主義者」の意味として使われ、その後心理学分野での用語ポリアンナ効果が生まれた。この効果は、「書かれた言葉においては、ネガティブ(否定的、悲観的、後ろ向き)な言葉よりもポジティブ(肯定的、楽天的、前向き)な言葉の方が大きな影響を及ぼす」と説明されている。
私もポリアンナの口癖をいただいて、「得意なのはよいとこ探しです」と加点評価を接明している。よいとこを探すと夢が語れる、未来を考えられる。否定的な思い込みで先へ進めない人をよいとこ探しで変えていくポリアンナはなかなかの教師である。肯定的な評価を人は好む、自分が肯定されない部分があると分かるからこそ…。でも、「他人から素直にここはよいとこだ」と言われるとだれでもうれしい。そして、自分の中のよさを自分で発見することができる。自己肯定感は自分自身でよいとこを自分の中に探し出せたときに高まる。そのためには、よいとこ探しは効果的な手法に違いない。
今年の夏はポケモンGOで「探す」という行為がクロ-ズアップされている。自分のよいことを探すのもありかもしれない。そのためにも、隣の同僚や友人、家族のよいとこ探しをお願いしたい。悪いところでなく、他人のよいとこを探すとまんざら自分も捨てたものではないと再発見できるに違いない。ポケモンGOは運動不足解消のねらいもあるらしいが、よいとこGOは心の運動不足を解消できる。本当の自分を素直に出せるようになる効果もある。ぜひ、よいとこを探してそれをゲットしたい。ポケモンは捕まるだけだが、よいとこは見つけると、自分のものになる。人は他人のマネをする性質があり、肯定的にとらえた他人のよさを自分の中に取り込んで自分のものに変えようとする。暑い中、熱中症に注意しながら、ぜひ、よいとこGOをやってみよう。2学期にはその成果をぜひ、生徒にも語ってください。