きばっど育英館 勉強スタイルを指導する H28.6.8
体育大会の応援団と学習の両立の話題について考えた。確かに生徒の負担は大きい。生涯学習で考えると、子育てや仕事をする中でも、自己のグレ-ドアップを図るために学習を求められることがある。普通に考えると厳しいが、目的意識があると、時間をうまく見つけてがんばり、達成できる。ましてや、過去にそんな経験があると強い。見事にやりとげる人が多い。負担が大きいが、経験はさせたいのも事実だ。
そう考えると、若いときの文武両道の体験は貴重だといえる。しかし、効率のよい学習方法を学ばせることも不可欠だ。自分のスタイルに合わせた、無駄のない勉強をさせたい。日常の生活の中に自分が使える時間がどれだけあるのか。○○の前の10分は大丈夫だ。そんな時間をあわせると、2時間は勉強できると考えられるように育てたい。
その意味でも、まずは、生活の時間を見直すこと、そして、教科の特性によって、勉強時間をデザインすることだ。短い時間でくりかえすことが効果的な教科もある。勉強時間がないのでなく、見つけられないので、デザインできない。本当に追い詰められて、時間を見つけようとする経験をしてみないと、この力は身にはつかない。
時間管理ができると、自分の勉強のスタイルを見つけさせることができる。自分のスタイルを確立することは、一生の宝となる。当然、力をつけることにもつながる。
その一つとして、記憶の仕方を教えておきたい。「丸暗記が得意だ」は、短期記憶の話である。実力試験や入試などの範囲が広いものには不向きである。そこで、記憶の効率をあげるためにはぜひ整理の仕方を指導しておきたい。社会を例にとると、紀伝体と編年体での整理である。具体的には、年代順の事項整理と人物の業績や出来事を中心とした整理である。知識をそうやって整理すると、学習の定着はかなり進む。引き出しの中を整理するのと同じ要領で、記憶させるものをどう効率よく入れていくかを指導するのである。それぞれの教科で具体例を示して指導するとよい。
次は、この記憶をどう引き出すかの訓練が必要だ。リズムにのせて覚えたり、関連付けて覚えたものは、それがカギになり、引き出せる。自分の記憶の仕方を考えさせるとよい。形で引き出すタイプと文字で引き出すタイプなど、記憶の引き出しも無数にある。自分の得意な整理整頓や引き出し方ができること、それをできるだけ短時間でこなす。このあたりを中学生、高校生時代に訓練したいものだ。
そして、簡単な文章の形で、表現できればとてもよい。数学の公式みたいなイメ-ジで暗記したものが浮かび上がればしめたものである。国語の例でおこがましいが、「反実仮想とは、現実にはないものをあると表現して、さらに感情の深まりを考える」という技法の説明と、「二人見ませばいくばくかこの降る雪のうれしからまし」の例文がセットで浮かぶとよい。「~ませば」は、現実にない部分である。「うれしからまし」は「うれしいだろうに…」と訳して、現実は「うれしくない」、かえって「悲しい」となる。勉強法については、まだまだ書かなくてはいけないようなので、今日はこのあたりで終わりにしますかね。
きばっど育英館 勉強スタイルを指導する2 H28.6.13
次に、実力をつける話をしたい。過去問の活用も効果的だ。入試問題は多くの要素を含んでいるので、まとめとして取り上げて本人の力がどう形成されたかを観察できる。過去問の多くは10年単位で変遷する。東日本、西日本で傾向が違うとか、いろいろな違いに気づく目は経験値で出てくるに違いない。過去問のエキスを指導してみるのもよい。インパクトがあるので、記憶に残ること間違いない。
成功例の紹介に共通するのは、本人の学習スタイルを活かした指導である。本人のめんどうをとことん見るというのは、ある意味、学習スタイルの確立を支援することでもある。ぜひ、そういう指導をしてほしい。学び方を教えないと一定のところで伸びがとまる。我々は学び方を指導するプロでありたいと考える。
「とことん」の意味がわからないと言われたら、とことん面倒をみるのは「見守る」という意味も考えてもらいたいと答えてほしい。方法を教えて、ある程度、身につけたら、手を出すのは控えることが必要だ。試行錯誤をさせて、定着させることで、本当に身につけることができる。自分化しなければ、いつまでたっても教えなければならない。学ぶというのは自分化できることだ。そのためには、ノ-ト指導だけではだめ、効果的なメモの取り方や見直しをする時間設定など、より「時間」を意識した指導が必要である。さらに、認知スタイルを自分なりに把握させなければならない。つまり、丸暗記タイプなのか、関連付けた方がよいのか、とにかく、覚えやすい方法でやることを身につけさせたい。とことん面倒をみるのは、こういう指導を個々の生徒にあわせて行うことを意味している。もう一つ、学びの姿勢に感動させたい。教師の苦労して体験したいろいろな研究歴をぜひ、生徒にわかりやすく、教えて、学びの魅力にふれさせたい。
自分の例で申し訳ないが、セクハラとは思わず、読んでいただきたい。平安時代の美の基準は「黒髪」、豊かな黒髪美女こそ、ときめくもので、光源氏も好んでしまい、「末摘花」では失敗をしてしまう。今の女性の髪形は「尼そぎ」といって、出家する際のものにほぼ近い長さで、平安美女にはなれない。ついでに、当時は平均身長は150センチ前後なので、十二単衣も着こなすが、現代の女性の多くは十二単衣を着ると、「小山が動く」になり、光源氏は気絶する。こんな話をすると、けっこう古典も面白いと興味・関心が高まります。
ところで、先生方の研究されたことの中にはおもしろい話があると思います。育英館の先生方は、研究者としても実力あると感じています。生徒の興味・関心の高まりは、授業への熱意につながります。楽しい授業は時間の経つのを忘れさせ、理解を促進します。生徒の心のスイッチを外側からオンにできるのは、こんな授業です。保護者に授業がどうのと言われるほど残念なことはありません。授業中、生徒が寝るようであればそれは教師の責任です。漫才はおもしろくなければ客は聞かないし、テレビ、ラジオなら、offになります。授業構想を練るときに「おもしろく」という視点をぜひ入れてみてください。楽しくおもしろい授業がある育英館にしていきましょう。