きばっど育英館 一秒の言葉を考える H28.5.30
「ことば」は心を届けるために必要なものです。しかし、使い方をまちがうと言いたいことが正確に伝わりません。それどころか、誤解を招きます。話し言葉はその場で訂正することもできますが、メールなどの書き言葉ではなかなかそううまくはいきません。当然、誤解が誤解を生み、大変なことになるのです。ぜひ自分の使う言葉についてもう一度考えてみましょう。
相手に心が伝わっていますか?
古代日本では、大和は言葉のさちはふ(言葉により幸せを招く)国として言霊信仰があったのはご存じのとおりです。言霊信仰とは、言葉には不思議な力があり、不用意に言葉として口に出すと、口にしたとおりに実現してしまうというものです。現代では、イメージトレーニングを積んで試合に臨むと勝利するなどという話も聞きます。言葉とおりに実現するという考え方は、イメージを描くことの重要性と関わっているようです。たんなる迷信とかで片付けられないと思います。逆に悪い方にイメ-ジするとどうなるかも想像がつくと思います。現実になるといけないので、悪いイメ-ジトレ-ニングなんてものは、できるだけ避けたいのですね。
また、「毒を吐く」なんて言葉もありますが、実際、人の悪口や誹謗中傷する言葉を吐いた呼気をためて、抽出した液体は猛毒だそうです。本当に文字通り毒を吐いて00います。呼気は気体ですから、自分自身にその毒が回るわけです。悪口を言う人は自分で寿命を縮めています。怖いですね。この反対をすると体によさそうです。そういう訳で簡単にできる健康法を準備しました。仏教では、人への施しを「お布施」と呼びます。その中で、お金が必要でない「無財の七施」という教えがあります。その中の一つに、「言辞施(ごんじせ) やさしい言葉で接する」があります。相手を思いやるやさしい言葉、「こんにちは」「ありがとう」「おつかれさま」「お世話になります」などで、人とまず接すること、それがお互いの理解を深める第一歩となるという教えです。言葉は人と人との関係を円滑にするコミュニケーションの大事な方法です。私たちは言葉一つで相手を喜ばせたり、励ましたりできるのです。
また、和顔愛語という四字熟語を聞いたことがあると思います。この愛語の部分と言辞施とは同じことです。ぜひ、多くの人が人を思いやる言葉である「愛語」を実行してください。今回のきばっどは一秒の言葉を裏面に掲載します。ぜひ、育英館の生徒たちにも思いやって使う言葉を身につけてほしいと考えます。ところで、仲間だという証拠に言葉が通じるかどうかとよく言われます。仲間だけで通用する話だと一体感は高まります。しかし、その場に言葉が通じない他の人がいるとしたら、疎外されたと感じてしまいます。だれもが仲間であるためには、言葉遣いは大切です。だからこそ、言葉の上で、仲間外れになったと感じさせてはいけません。
「おはよう、さようなら」の出会いや別れの挨拶、「ありがとう」という感謝、「がんばれ」という励まし、「おめでとう」という祝福、これらの言葉に共通するのは相手を受け入れているということです。たった一秒の言葉が人生のいろいろな場面で重要な役割を演じることになります。ぜひ、この時期に身につけさせましょう。